Mistir Library

小さな図書館。ひたすら語ります。

読書に対するスタンスって案外難しいんだぜって話

こんにちは、Mistirです。

読書録の記事に入る前に、ちょっとだけ読書に対するスタンスってのを語っておこうと思います。

「忘れる読書」っていう言葉があります。

 

 

読んで、ひたすら忘れていく。
その中にも積み重なるものがある。表層化しない無意識の中に堆積していくものが。

僕もこの考えが好きです。

 

……だったら読書録ブログとかいらんやろ!!!

 

と、正直自分自身思う。
単純に、記録残すのって楽しいし、読んだ本が積み重なっていくのが数字になるのも好きだから、その程度の話です。
ブログだと考え方の共有もできるしね。

さて、話は少し変わりますが、世の中には「同じ本を何度も読み返す」のが好きな人もいれば「徹底的に速読して多読する」人もいます。
僕は「ある程度のスピードで多読すべき」という考え方の人間です。
100冊読めば一冊くらいは確実に「何度も読み返したくなる」本が出てくる。


あとついでに言えば、あまり現代小説(ラノベ含む)に触れずに、偏った本ばかり読んでると恥ずかしい間違いを犯しちゃったりすることがあるのです。

例えば、即興で考えた文章だけど、小説を読んでいるとして、次の「表現」は間違いだと思う?
少しだけ考えてみて欲しい。

AさんとBさんがジャンケンをしている描写。

こいつの傾向を考えると、今回もグーを出すに違いない。
Aはパーを出した。BはAの考えた通り、グーを出した。

あ、文章力とかそういうのは指摘しないでね☆

で、この文章の何を問題にしたいかというと……
一行目の「こいつの傾向を考えると、今回もグーを出すに違いない」と書くのが「小説のルールとしてアリかナシか」って話なんです。
結論を言えば、アリ
だけどこれを「ナシ」と指摘した人がいた。多分、現代小説あんまり読んでないんだろうな……とそのとき本気で呆れちゃったんだけど。


さて、何を問題にしようとしているか、ネタばらしをしよう。
小説の中で、例えば以下の表現があったとしたら、それは確実に「ナシ」だ。

俺は思った。こいつの傾向を考えると、今回もグーを出すに違いない。
Aはパーを出した。
BはAの考えた通り、グーを出した。

これは、小説に慣れていない人がやらかしがちな「人称のミス」ってやつである。
よっぽどの実験小説でもない限り、一発アウト。……ちなみにMistirは商業作品のラノベでこのミスをやっちゃってる作品を読んだことがあります。何してんねん編集。

で、さっきの。

こいつの傾向を考えると、今回もグーを出すに違いない。
Aはパーを出した。
BはAの考えた通り、グーを出した。

言うまでもなく、これが

Aは考えた。こいつの傾向を考えると、今回もグーを出すに違いない。
Aはパーを出した。
BはAの考えた通り、グーを出した。

だった場合、誰も「間違ってる」なんて言っちゃう人なんていないだろう。
っていうか、厳密に言えばこの書き方が「正しい」わけだ。

だけど、

こいつの傾向を考えると、今回もグーを出すに違いない。
Aはパーを出した。
BはAの考えた通り、グーを出した。

になると、急に「人称ミス」と間違えちゃう人がいる。
これは「人称ミス」でなく……
自由間接話法という手法だ。
日本語の文章に対してあまり使う言葉じゃなくて、海外文学の分析のときによく使われるものなんだけど、先程書いた例文のようにフツーに使われてるものである。
真剣に書くと結構難しい話なので、詳しくはWikipedia見てください!

 

で、この自由間接話法。
ここからが大事なんだけど……

ラノベみたいな「勢い重視」の小説に、非常に相性がいい!

 

さて、もう一つくらい即興で文章を書いてみよう。

Mistirの放つ斬撃が、異形のモノを次々と蒸発させる。ここだけは死んでも護らなければならない。が、異界の扉から生じるソレは彼の処理速度を少しばかり上回っていた。

ラノベ風文章。
この文章、冷静に考えるとオモシロイっしょ?……いやいや、自画自賛じゃなくて。

「ここだけは死んでも護らなければならない」のはこの小説に登場する英雄であり漆黒の剣士であるMistirの主観であって、地の文を書く神の視点たる「作者」が語っていいことじゃない。


自由間接話法は本当にライトノベルと相性の良い手法なんだよね。
これを

Mistirの放つ斬撃が、異形のモノを次々と蒸発させる。Mistirは思った。ここだけは死んでも護らなければならない。が、異界の扉から生じるソレは彼の処理速度を少しばかり上回っていた。

なんてやっちゃったら、もうそれだけでテンポ悪いっしょ?

あ、どうでもいいけどこれは例としてやっただけであって、自分が仮に小説書くならダッシュ記号使いますけどね。

ーーここだけは死んでも護らなければならない!
Mistirの放つ斬撃が、異形のモノを次々と蒸発させる。が、異界の扉から生じるソレは彼の処理速度を少しばかり上回っていた。

ただ、このダッシュ記号も使いすぎると安っぽくなるんですよ。ダッシュ記号使いまくって安っぽくならないのなんて京極夏彦くらいですよ。マジで。


……さて、話を戻そう。


僕は「一つの本を何度も読む」ことも大事だと思うんだけどさ。
多読しとかないと、こういうトコロに気付けなくなっちゃうと思うんすよ。

話のオモシロさもそうだけど、人称のオモシロさとか、疾走感のある表現とか。
そういった「小説の一瞬」に秘められた輝きみたいなのって、意識しとかないと気付かないし。
そういった意識を醸成してくれるのって、結局多読だけなんだよね。

……っていうスタンスです。

もちろん、読書に対するスタンスなんて人の数だけある「べきだ」と思ってる。
とりあえず僕はこんな気持ちで本を読んでるぜってことをお伝えしておきたくて、記事を書きました。

あ、ついでに。

僕の読書比率は

ラノベ3:一般小説1:その他2

くらいだと思っておいてください。
ジャンクフードのようにラノベ読んで、辟易してきたあたりで他の本を読む。
疲れたらポテチに飛びつくようにラノベを読む。
そんな感じです。

ってことで、これから読書録どんどん書いていくんでよろしくお願いしますね。

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