こんにちは、Mistirです。
今回はこの本。
丸戸史明『冴えない彼女の育て方』
ラノベセールで買った一冊。
アニメ化してる有名な作品、ということだけは知っていた。
作者が有名なエロゲーのライターさんだとは知らなった。
いかにもフェミニストにケンカを売りまくったようなタイトルだなオイ、と思っていたが……
読んだ感想を一言で言うと。
「クッソ気持ち悪い」。
いや、本気で気持ち悪いよこれ。
褒め言葉です。
まず前提として、1巻はどうやらプロローグで、作者も慣れてなかったらしく、小説の書き方というよりゲームの書き方です。
だからめっさ読みにくい。
3人の登場人物が出てきて会話してるところなんて、地獄です。読めねえよ!
そういう弱点はあるんだけど、そこにはあまり触れずに……
この小説の気持ち悪すぎるメタ構造をちょっと語ってみようと思う。
「冴えない彼女の育て方 メタ」で検索すると幾らでも出てくるから、そういう読み方で分析してる人も多いわけだ。
あらすじをざっと言うと、「主人公が目立たない女子をヒロインにしたギャルゲーを作ろうとする話」って感じ。
何を言ってるかわかんねーと思うが、僕も分からん。
っていうか、「虚構的美少女」が「虚構」の中で「現実的に目立たない」というレッテルを貼られて「比較的現実的な虚構内の空間」の中で「虚構」であるギャルゲーを作ってその「虚構」の中に収奪されるかされないか微妙ところにいる、ってどんだけめんどくさい構造だよ。
いや、読まないといまいちわからないと思うけど、こういう構造なんですよ。
で、他のヒロインはもうこってり濃厚背脂マシマシの「虚構」的存在なんです。
天才絵師に、売れっ子ラノベ作家。どちらも超美人。
もう、アホかってね。
主人公は見事にその中間地点に位置してて、虚構的人格なんだけど、妙に現実的な性格付けがされている。「職員室に直談判を繰り返して学園祭でアニメ上映会開催にこぎつける」とか。妙にリアルだ(こういう行動派オタクっているよなぁ、って思っちゃう)。
正直、この「目立たない」と称されるメインヒロインは読者から見ればどっからどう見ても萌えキャラだ。いや確かに「意図的にズラし」てはいるんだけど、それが新しい魅力になってる(おそらく、作者が確信的にそうしてる)。その上、主人公とどう見ても付き合ってる(ような関係である)のにモノローグで主人公は「マジで女友達って感じだわ〜」とか言ってる。
気持ち悪い。いや、不快な気持ち悪さというより……
居心地が悪い、という方が向いているのかもしれない。
この居心地の悪さを、作者はおそらく意図的に演出してる。
作品から作者を判別とかしたくないけど……「ああ、この作者モテるんだな」とも思いたくなるような描写が多い。
とにかく、どこか居心地が悪いのである。
多分それは、この作品が「ハーレムもの」の構造を無理やり切り崩しつつ、新たなアクセスを目指しているからかもしれない。
そういったメタ構造自体は大好きなのだけど、いかんせん描写がちょっと不足してて、かつ地の文も「メタ要素」まみれでなかなか読み取りづらい、変な小説だ。
2巻を買うかどうかは未定。とりあえず、「欲しい!」とはならなかったな。
でもちょっと興味はあるので、追々2巻以降も読もうと思う。